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型にはめる教育(1)
型にはめる教育、と言う事がある。普通、良い意味では言わない。まるで教育が悪事であるかのように言われるのだが、私の実感は、だいぶ異なる。
まず言語。型にはまらないと、通じ合えずにお互い困るだけだ。
礼儀・作法は行動・動作の型だが、これを知らないと(身に付けないと)人付き合いは円滑に行かず、誤解だらけ、争いだらけの世の中に成ってしまうだろう。
それに、大人が型にはめようとしなくても、どの子も自ら型にはまろうとする。だから皆が言語を覚える。もちろん言語だけではない。多少高度な知識を得ようとする場合でも、やはり自ら型にはまろうとする子が多いのが事実である。たとえば、数学の問題を私が解いてみせると、その手順をそっくりそのまま覚えようとする。
それが、何かおかしいか?
別におかしくないだろう。前頁の“素直であること”に書いた通り、素直である事は一つの立派な才能である。素直に既成の型にはまれば、すんなりと新しい能力を身に付ける事ができる。教育というのは、未熟な存在に速やかに新たな能力を獲得させる仕事であって、それなら、まずは型にはめるのが良策だ。と言うより、そもそも型にはめない教育なんて、可能なのか?
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