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歪んだ数学観(2)

 数学の特徴――その二つ目として、物事の具体性を削ぎ落とし、要素を抽出し、原理・原則を見つけ出し、共通性や法則性を追究する。そして、出来る限り何でも統一的に解釈しようとする。という点を挙げてみます。
 
 さて、速度、密度、圧力は、いずれも中学生までに習い、いずれも同じ考え方をしている訳です。ところが、扱う現象が異なる為、同じ考え方だと認識している中学生は希少人種です。
 そこで、速度とはどういう考え方であるか、密度とはどういう考え方であるか、圧力とはどういう考え方であるかを、それぞれ理解させてやります。理解したならば、これらの考え方が全く同じである事に、容易に気付くはずです。
 そして、この考え方は身近な所で活かされています。自動車の燃費もそうだし、500gで1,200円の肉と300gで800円の肉を比べるときもそうです。平均だってオームの法則だって、これらの身内です。
 ここまで話を拡げると、また判らなくなってしまうでしょう。そこで、それぞれの場合で用いる式を抽象化します。つまり、文字式化します。すると、全く同じ式になってしまいます。いずれも、割合を見ているのであり、比例・反比例の関係を捉えているのだと、その文字式が教えてくれます。(割合という考え方を様々な場面で利用しているのだ、と言ったほうが正確か?)
 ここで削ぎ落とされたものがあります。現象という、具体性です。具体性を削ぎ落とす(抽象化する)と、共通性がクッキリと見えて来ます。
 それが見えたからと言って、この事が何かの役に立つかどうかは判りません。ただ、このように様々なものを統一的に理解しようとする事は、数学的思考の一例であると言いたいのです。
 


 ここで、ぜひ紹介しておきたい言葉があります。アンリ・ポアンカレ(フランスの数学者、天文学者、物理学者。1854-1912)の言葉です。数学とは、どのようなものであるか、それをポアンカレは、
 
異なるものを同じと見なす技術(アート)である。

と、述べております。
 
 そして私の挙げた例は、異なるものを同じと見なす一例だったのです。ポアンカレは、「オマエの言っている事は、私が言いたかった事とは違う」と言うかも知れませんが、私はこのような事(も含む)だろうと考えています。
 


 様々な場合に分け、それぞれの場合に応じた「公式」を用意しておき、その公式に頼って処理をしているばかりだと、上のような考え方は出来ないでしょう。これを以って、私は“歪んだ数学観”と言いいます。計算して答えを出すのが数学だ、と思ってしまわれたくはないのです。
 

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