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歪んだ数学観(1)

 数学の特徴――これは幾つか挙げられるでしょうが、まず一つ、「最小限の法則、原理・原則を以って、最大限の説明をしようとする」という事を挙げておきます。
 
 従って、「あれを求める場合はこう計算し、これを求める場合はどう計算し…」という具合に、場合を細々と分けてしまうのは、数学的思考とは言えないでしょう。ところが、場合を細々と分けたがる人が居ます。しかも、そういう人は決して少なくありません。
 何故そうしたがるのかと言えば、そうする事によって手っ取り早く計算が出来るように成るからです。数学をよく理解しよう(理解させよう)とせず、試験で問題を解く事を主眼とする人は、分けたがります。
 事実、ある予備校では、数多の秘伝公式を受講生に伝授しているそうな。「ああいう場合はこの公式だ。こういう場合はどの公式だ」と、さぞかし熱くなって教えているのでしょうね。私は真似しようとは思いません。これは、まさしく「手っ取り早く問題を解く事を主眼とする」からこそ出て来る発想で、そんなものが数学(的思考)だと生徒に思われては心外ですから。
 
 私は、どうせ数学(算数も含めて)を教えるなら、出来る限り「ああいう場合もこういう場合も、これで解決できるんだ」と教えたいですし、実際にそうしています。
 ところが、たとえば小学生が算数の時間に速さを習うと、普通は、
速さ=距離÷時間
時間=距離÷速さ
距離=速さ×時間
の三公式を教わり、求めるものによって公式を使い分けます。こうすれば、確かに問題を解く速度は上がるでしょう。
 しかしこれでは、ただの掛算・割算の計算問題と大差がありません。もはや速さの問題などでは、なくなっています。これでは、子供達は速さについて理解できません。現に、私は中学生を引き受けると、速さを教え直さないといけない事が多いのです。
 そして速さを教える際、私は公式は無視します。速さの意味、速さとはどういう計り方なのかを理解させ、それによって計算式など自動的に判ってしまうような能力を育てる事を狙います。そうする事によって、最小限の原理・原則を最大限に生かす思考習慣をつけてもらいたいと思うのです。そして、数学と言うからには、このような頭の使い方を鍛えるべきだと考えています。
 
 それにしても、速さの公式ですが、覚えるにしたって、どれか一つで良いはずなのですけどね。どれか一つ知っていれば、残る二つはスグに判るのですから。ただでさえ公式には頼らせたくない上に、三つの場合に分けるなんて鳥肌が立ちます。それほど気持ちが悪い教え方です。教育によって数学感を歪めてしまって、どうするのでしょう?
 
続く

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