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平易な表現

   問い
高い山に登ると寒いのはなぜですか?
 
   答え
(前略)…高い山では気圧が低くなります。気圧とは空気が地面を押す力のことです。気圧が低いと、空気が膨張して…(後略)
これは、ある地方紙の、ある日の記事の一部。子供の質問(疑問)に対して答えるという形式。だから当然、今の「答え」は子供に対しての回答なのだが……苦しい回答だ。
 
気圧とは空気が地面を押す力のことです。

この部分が、すごく気になる。いいのか? こんな答えで。だって地面だけじゃなくて、木だって人だって押されるじゃないか!
 それに、気圧でも水圧でもそうだけど、これは鉛直下向きにのみ働く訳じゃない。でも、
 
気圧とは空気が地面を押す力のことです

なんて書いたら、子供が勘違いしないか?
 
 しかも、圧力(気圧も含めて)というのは(理化学辞典(岩波書店)の表現を借りれば)、
連続体の中に応力が生じているとき,その中に考えた単位面積の面にはたらく力の法線成分.(以下略)
である。単位面積当たりにどれだけの力が働くかをを考えないと、圧力という言葉は意味をなさない。ところが「答え」の中には、そんな話は出て来ない。
 
 
 しかし、無理もないとも思う。なにしろ相手は子供だ。きちんと説明すると、かえって判らないだろう。回答者としても、苦しんだ末にあんな事を書いたのだろう。私も職業柄、この苦しみは日常的に味わっている。そして、私があの質問に対する回答を担当したら正確で判りやすいものに成ったという自信は、無い。
 
 この関係は、専門家と一般の人との関係に、そのまま置き換えても良い。
 ちょっと専門的な事を易しく解説しようとすると、とにかく苦しい。本来は、きちんと理解してもらう為に多くの基礎知識・予備知識が必要なのだ。そういう事が多い。高い山に登るとなぜ寒いのかについても、これをきちんと解説しようとしたら小冊子が一つ出来上がってしまう。そんな事を、どうやって平易に解説できる? 平易である事は、いい加減である事とは全く別だ。
 
続く

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